労務問題でお悩みの経営者の方へ

団体交渉を拒否したらどうなるか

団交を拒否したところ、労働委員会に対して不当労働行為救済申立を行ってきました。今後、どうなるでしょうか?

労働委員会が会社の不当労働行為の有無について審理し、不当労働行為が認定されれば、それを是正するための救済命令、例えば不当解雇であれば労働者の復職を命じる救済命令が出されることになります。

会社としては労働委員会での審査で会社の主張を提出できるよう準備すべきです。

1.不当労働行為救済申立てとは

労働組合法7条1号から4号は、使用者に対して不利益取扱いなどの一定の行為を不当労働行為として禁止しています。
そして、使用者がこれに違反した場合について、労働委員会による救済を定めています(労働組合法27条)。
労働組合が不当労働行為を理由に労働委員会に救済命令の申立てを求めることを不当労働行為救済申立てといいます。

2.労働委員会の審査手続

(1)手続の流れ

労働委員会による不当労働行為審査手続は二審制であり、まず都道府県労働委員会に申立てがなされ、県労委の命令に不服がある場合には中央労働委員会に再審査を申し立てることになります(ただし、再審査の申立てをせずに県労委の出した命令の取消訴訟を地方裁判所に提起することもできます)。

初審の県労委での審査手続の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 労働委員会への申立て
  2. 調査(労使双方の主張や証拠の提出、主張や証拠、争点の整理)
  3. 審理計画の策定(争点、証拠、審問の回数、尋問時間、命令交付の予定時期を決定)
  4. 審問(公開の審問廷での証人尋問等)
  5. 合議(事実認定及び不当労働行為に該当するかの判断)
  6. 命令書の交付

(2)会社の準備

審査手続では裁判と同様に書面による主張や証拠の提出、証人尋問が行われ、最終的に不当労働行為の有無が労働委員会によって判断されます。
そのため、会社の主張を法的に整理し、有効な証拠を提出する必要があります。

3.救済命令の発令

会社の行為が不当労働行為に認定されると、労働委員会は救済命令を発令します。
例えば、解雇が不当労働行為と認定された場合には、会社による解雇を撤回し、職場への復帰を認めること、復職までの未払い賃金及びこれに対する遅延損害金を支払うことを命じることが通例となっています。

救済命令はこれ自体によって労働者や労働組合に対し、直接私法上の権利を発生させたりするものではありません。
そのため、救済命令をもとに強制執行などはできません。
もっとも、命令に違反すると50万円以下の過料等の制裁が科されます(労働組合法32条)。

4.労働委員会での審査の重要性

労働委員会の命令に不服がある場合には、裁判所に対して救済命令の取消訴訟を提起できます。
もっとも、労働委員会は不当労働行為を証拠にもとづき認定している以上、裁判所も労働委員会の事実認定や判断を尊重する傾向にあります。

そのため、不当労働行為の救済申立てがなされた場合には、会社の主張を労働委員会に認めてもらうよう十分な準備をする必要があります。

5.対応は弁護士にご依頼ください

労働委員会の審査手続は、裁判と同様に法的主張を前提に証拠にもとづいて行われます。
そのため会社の担当者の方が対応することは事実上困難といえます。
弁護士にご依頼いただいた場合には会社の主張が認められるよう万全の準備をして、審査手続に望みます。

労働組合に不当労働行為の救済申立てがされた場合には、一度ご相談ください。

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