パワハラ、セクハラ、マタハラ等

ハラスメント対策の法的義務

労働契約法において「使用者は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう」必要な配慮をする義務が定められています(同5条)。

この具体的内容として「労務遂行に関連して被用者の人格的尊厳を侵しその労務提供に重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切に対処して、職場が被用者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務」があるとされます。

職場におけるハラスメント対策を怠ると、この注意義務に反するとして、不法行為責任を負うことになります。

また、パワハラ、セクハラ、マタハラといった問題になりがちなハラスメントの類型には法律上の定義があり、それぞれに「生じないように、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置」を講じる義務が定められています。

パワハラ、セクハラ、マタハラ

パワハラは、法律上、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義されます(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律30条の2)。

セクハラは、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」と定義されます(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律11条1項)。

マタハラは、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、(産休・育休の取得)その他の妊娠又は出産に関する事由に関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されること」と定義されます(同11条の2)。

これらは、抽象的な定義であるため、個別事案における問題点の把握には、事案に即した慎重な検討が必要です。

ハラスメント対応の必要性

近時、ハラスメントに対する社会的非難は高まっています。

ハラスメントの対処を怠っていると、会社の社会的信用が低下し、採用や取引に悪影響を及ぼしかねません。
被害者だけでなく、会社の全員の人生がに影響が出てしまう恐れがあります。
適切に対処する必要があります。

他方、上述したように、何がハラスメントとして問題になるのかは抽象的であり、具体的事案の検討では法的見地からの評価が必要です。

起きてしまったハラスメント問題の解決だけでなく、事前にハラスメント問題を防ぐための体制整備においても、弁護士へのご相談をお勧めします。

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